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示準化石と示相化石の違いとは?一覧・例・条件・覚え方を化石専門メディアが解説

JURANOTE FIELD NOTE / 化石を、ひとつずつ読み解く。
示準化石と示相化石の違いを化石標本と環境で表した画像

「示準化石と示相化石、どっちがどっちだっけ?」と、テスト前に手が止まってしまう人は多いのではないでしょうか。名前が1文字違うだけなので、覚えたつもりでも混乱しやすい言葉です。

この記事は、中学理科の定期テストや高校入試の対策をしたい人、子どもに聞かれてうまく説明したい保護者の方に向けて書いています。化石専門メディアのジュラノートが、教科書の知識に実物の化石の話も交えてわかりやすく解説します。

示準化石と示相化石の違い【比較表】

示準化石と示相化石のいちばん大きな違いは、化石から「何がわかるか」です。

示準化石は地層ができた「時代」を、示相化石は地層ができた当時の「環境」を教えてくれます。

時代がわかる示準化石と環境がわかる示相化石の違い
比較項目示準化石示相化石
読み方しじゅんかせきしそうかせき
わかること地層が堆積した時代地層が堆積した当時の環境
生物の条件短い期間に広い範囲で栄えた限られた環境でしか生きられない
代表例三葉虫、アンモナイト、ビカリアサンゴ、シジミ、ブナ
英語index fossilfacies fossil

このように、示準化石は「いつ?」、示相化石は「どんな場所?」の答えになる化石です。ここから、それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。

示準化石とは?地層の「時代」がわかる化石

示準化石とは、その化石を含む地層がいつの時代に堆積したかを推定するのに役立つ化石です。「標準化石」と呼ばれることもあります。

たとえば、三葉虫の化石が見つかれば、その地層は古生代にできたと考えられます。

ある生物が生きていた期間が短いほど、その化石が出た地層の時代を絞り込みやすくなります。そのため、短い期間で進化・絶滅し、しかも世界中に広く分布した生物ほど、優れた示準化石になります。

示相化石とは?地層ができた「環境」がわかる化石

示相化石とは、地層が堆積した当時の環境を推定するのに役立つ化石です。たとえば造礁サンゴの化石が見つかれば、その場所はかつて暖かく浅い海だったと考えられます。

示相化石は、今も同じ仲間が生きている生物であることが多く、現在の生息環境から当時の環境を推定します。「現在の生き物のすみかは、過去の生き物のすみかでもあった」という考え方が土台になっています。

示準化石・示相化石の読み方と名前の意味

示準化石は「しじゅんかせき」、示相化石は「しそうかせき」と読みます。漢字の意味を知っておくと、2つを取り違えにくくなります。

示準化石の「準」は、地層の上下関係や新旧を表す「層準(そうじゅん)」の準です。つまり示準化石は、地層の新しい・古いを示す化石という意味になります。

示相化石の「相」は、地層ができた環境によって決まる地層の特徴「相(そう)」を表します。英語の facies(フェイシーズ)にあたる言葉で、示相化石は地層ができた環境のようすを示す化石という意味です。

示準化石の条件と代表例一覧

示準化石になるには、いくつかの条件を満たす必要があります。ここでは条件と、時代別の代表例をまとめます。

示準化石になる4つの条件

国立科学博物館では、示準化石の条件として次の4つが挙げられています。

  • 生きていた期間が短い
  • 分布する範囲が広い
  • 化石が多く見つかる
  • 種類を見分けやすい

生きていた期間が短いと時代を細かく絞り込めて、分布が広いと離れた場所の地層同士を比べられます。さらに、たくさん見つかって見分けやすい化石でないと、実際の調査では使いにくくなります。

中学の教科書では、このうち「短い期間に栄えた」「広い範囲にすんでいた」の2つにまとめられていることが多いです。テストではまずこの2つを押さえておきましょう。

時代別の示準化石一覧

中学理科で出てくる示準化石を中心に、地質時代ごとにまとめました。

古生代・中生代・新生代の代表的な示準化石一覧
地質時代おおよその年代代表的な示準化石
古生代約5億3900万年前〜約2億5200万年前三葉虫、フズリナ(紡錘虫)、フデイシ
中生代約2億5200万年前〜約6600万年前アンモナイト、恐竜、イノセラムス、トリゴニア
新生代約6600万年前〜現在貨幣石(ヌムリテス)、ビカリア、デスモスチルス、ナウマンゾウ、マンモス

テストでは、三葉虫とフズリナは古生代、アンモナイトと恐竜は中生代、ビカリアとナウマンゾウは新生代、という組み合わせがよく問われます。まずはこの6つを、時代とセットで覚えておきましょう。

テストに出やすい示準化石の特徴

一覧のなかでも、よく出題される示準化石の特徴を簡単にまとめます。

化石時代特徴
三葉虫古生代体が縦に3つに分かれた節足動物。古生代の海で大繁栄した
フズリナ古生代(後半)米粒ほどの大きさの単細胞生物。石灰岩の中によく含まれる
アンモナイト中生代うずまき状の殻をもつ頭足類。殻の模様で細かく時代を分けられる
恐竜中生代中生代の陸上で栄え、白亜紀の終わりに鳥類以外が絶滅した
ビカリア新生代トゲのある巻貝。日本では約1600万年前ごろの地層から見つかる
ナウマンゾウ新生代(第四紀)日本にいたゾウ。比較的新しい時代の地層から見つかる

それぞれの化石の形や見分け方は、ジュラノートの化石図鑑で写真とともに解説しています。三葉虫やアンモナイトは種類が多く、種類ごとに生きていた時代が違うため、図鑑で特徴を見比べてみてください。

示相化石の条件と代表例一覧

示相化石は、示準化石とは条件が大きく異なります。ここでは、示相化石になる条件と、代表例からわかる環境をまとめます。

示相化石になる3つの条件

示相化石として使えるのは、次の3つを満たす生物の化石です。

  • すめる環境が限られている
  • 長い期間同じ環境で生きている
  • 生きていた場所で埋まった

すめる環境(水温・水深・塩分など)が限られていれば、化石が見つかった場所の環境を絞り込めます。また、今も近い仲間が生きていれば、その生息環境を手がかりに当時の環境を推定できます。

3つめは、教科書ではあまりふれられない条件です。死んだあとに殻が波や川で遠くへ運ばれてから埋まると、化石が見つかった場所と、生きていた場所がずれてしまいます。

そのため研究では、二枚貝が殻を閉じたまま生活していた姿勢で見つかるなど、「その場で埋まった」とわかる化石が、環境を推定する手がかりとして重視されます。

示相化石の一覧とわかる環境

教科書によく出てくる示相化石と、そこからわかる環境をまとめました。

示相化石当時の環境
サンゴ(造礁サンゴ)暖かく、浅く、澄んだ海
アサリ・ハマグリ浅い海(砂や泥の海底)
カキ河口付近の浅い海
シジミ河口や湖(淡水〜海水が混じる汽水)
ホタテガイ冷たい浅い海
ブナ温帯のやや寒冷な気候の陸地

特にサンゴとシジミは、テストでの出題が多い示相化石です。「サンゴは暖かく浅い海」「シジミは河口や湖」とセットで覚えておきましょう。

「サンゴ=暖かい海」が成り立つのは造礁サンゴだけ

サンゴの仲間には、深くて冷たい海にすむものもいます。暖かく浅い海を示すのは、サンゴ礁をつくる「造礁サンゴ」と呼ばれる仲間です。

造礁サンゴの体内には、光合成をする藻類がすんでいます。そのため、光が届く浅くて澄んだ海でしか育たず、これが「暖かく浅い海」の証拠になります。

教科書で「サンゴ」とだけ書かれている場合も、この造礁サンゴを指していると考えましょう。

示準化石と示相化石の見分け方・覚え方

示準化石と示相化石は、名前が似ていて混同しやすい言葉です。ここでは、見分け方と覚え方、よくある間違いを紹介します。

示準化石と示相化石の条件と覚え方を比較した図

見分け方は「いつ?」か「どんな場所?」か

問題で化石が出てきたら、その化石が答えてくれるのが「時代」なのか「環境」なのかを考えます。

  • 時代を答える問題は示準化石
  • 環境を答える問題は示相化石

生き物の名前から判断する場合は、「すでに絶滅している生物」は示準化石、「今も近い仲間が生きている生物」は示相化石になりやすい、と覚えておくと便利です。三葉虫やアンモナイトは絶滅していますが、サンゴやシジミは今も生きています。

語呂合わせ・覚え方

ここでは、ジュラノートがおすすめする覚え方を紹介します。名前の覚え方と、代表例の覚え方を分けて押さえると、テストで迷いにくくなります。

名前の覚え方

  • 示「準」は時代の「順番」
  • 示「相」は環境の「様相」

「準」を「順番」の「順」と結びつけると、時代の順番がわかる化石だと思い出せます。「相」は「様相(ようす)」の「相」と結びつけて、環境のようすがわかる化石と覚えましょう。

示準化石を時代順に覚える語呂合わせ

おすすめは「サン・アン・ビ・ナウ」です。

  • サン=三葉虫(古生代)
  • アン=アンモナイト(中生代)
  • ビ=ビカリア(新生代)
  • ナウ=ナウマンゾウ(新生代)

古いものから順に並んでいるので、時代の並び順もいっしょに覚えられます。ナウマンゾウは、新生代のなかでも新しい時代の化石です。

示相化石の覚え方

示相化石は「あたたか浅いサンゴ、かこう(河口)のシジミ、つめたいホタテ、すずしい陸のブナ」と覚えるのがおすすめです。環境と生き物をセットにして声に出すと、テストで迷いにくくなります。

よくある間違い3つ

教科書の説明は短くまとめられているため、思わぬ勘違いをしやすいポイントがあります。テストでも間違えやすい3つを確認しておきましょう。

1. アンモナイトは中生代にしかいなかった?

アンモナイトの仲間は古生代に現れ、中生代に大きく栄えました。テストでは「中生代の示準化石」として覚えて問題ありませんが、研究の世界では種類ごとに細かく時代を見分けて使われています。

2. サンゴならどれでも暖かい海を示す?

先ほど解説したとおり、暖かく浅い海を示すのは造礁サンゴです。深い海にすむサンゴもいるため、サンゴの種類によって示す環境は変わります。

3. 1つの化石は、示準化石か示相化石のどちらか一方?

化石によっては、示準化石と示相化石の両方の役割を持つものがあります。代表的なのがビカリアで、次の見出しで詳しく解説します。

1つの化石が示準化石にも示相化石にもなる例

示準化石と示相化石は、化石の種類ではなく「その化石を何の手がかりに使うか」による分け方です。そのため、同じ化石が両方の役割を持つこともあります。

代表的な例が、トゲのある巻貝のビカリアです。ビカリアは新生代の限られた時代に栄えたため、地層の時代を示す示準化石になります。

一方で、ビカリアはマングローブ林が広がる、熱帯から亜熱帯の河口や干潟にすんでいたと考えられています。そのため、ビカリアの化石が見つかった場所は、当時暖かい海辺だったことを示す示相化石としても使われます。

実際に、岡山県奈義町では約1600万年前の地層からビカリアが見つかっていて、当時の奈義町周辺が海辺だった証拠とされています。「時代」と「環境」の両方を教えてくれる化石として、覚えておくと理解が深まります。

研究の現場で使われる示準化石・示相化石

教科書に出てくる示準化石・示相化石は、三葉虫やアンモナイトのように目で見える大きな化石が中心です。しかし、実際の研究では、顕微鏡でしか見えない小さな「微化石」が広く使われています。

たとえば、海のプランクトンである放散虫や有孔虫、珪藻などの化石です。これらは世界中の海に広く分布し、少量の岩石や泥からでもたくさん見つかるため、優れた示準化石になります。

また、プランクトンは水温や水深、塩分などに応じてすみ分けているため、示相化石としても使われます。有孔虫の化石では、殻に含まれる酸素の成分を分析して、過去の海の水温を推定する研究も行われています。

日本列島の地層の多くは、海洋プレートの沈み込みにともなってできた「付加体」と呼ばれる地層です。その時代を調べるのにも、プランクトンの微化石が重要な役割を果たしています。

示準化石・示相化石を実際に見る・手に入れる方法

教科書で覚えた化石も、実物を見たり自分で掘り出したりすると、ぐっと理解が深まります。ここでは、示準化石・示相化石に実際にふれる方法を紹介します。

化石発掘体験で探す

全国の化石発掘体験施設では、教科書に出てくる化石を自分の手で探せます。

探せる化石主な施設
アンモナイト
(中生代の示準化石)
いわき市アンモナイトセンター(福島県)、御所浦恐竜の島博物館(熊本県)
ビカリア
(新生代の示準化石・示相化石)
なぎビカリアミュージアム(岡山県)
中生代の二枚貝トリゴニア御所浦恐竜の島博物館の「トリゴニア砂岩化石採集場」(熊本県)
浅い海の貝化石
(示相化石)
瑞浪市化石博物館の野外学習地(岐阜県)、安田町化石発掘体験場(高知県)

見つけた化石が示準化石か示相化石かを考えながら探すと、自由研究のテーマにもなります。施設ごとの料金や持ち帰りのルールは、化石発掘体験ができる全国の施設をまとめた記事で詳しく紹介しています。

標本を手に入れて手元で観察する

三葉虫やアンモナイトは、化石の専門店や通販でも本物の標本が手に入ります。ジュラノート運営者が最初に手に入れた化石の1つも、アンモナイトでした。

標本を選ぶときは、産地や時代が明記されたものを選ぶのがおすすめです。示準化石として「どの時代の化石か」を確かめながら観察でき、教科書の一覧表が実感をともなって理解できます。

三葉虫の種類ごとの特徴は三葉虫図鑑で、化石を購入できるお店は化石を買えるお店を紹介したページで解説しています。

示準化石と示相化石に関するよくある質問

ここでは、示準化石と示相化石についてよく寄せられる質問にお答えします。

Q
示準化石と示相化石の違いは何ですか?
A

示準化石は、地層が堆積した「時代」がわかる化石です。示相化石は、地層が堆積した当時の「環境」がわかる化石です。

Q
示準化石と示相化石の語呂合わせは?
A

示「準」は時代の「順番」、示「相」は環境の「様相(ようす)」と結びつけると、名前を取り違えにくくなります。示準化石を時代順に覚えるなら「サン・アン・ビ・ナウ(三葉虫・アンモナイト・ビカリア・ナウマンゾウ)」がおすすめです。

Q
示相化石の代表例は?
A

代表例は、暖かく浅い海を示す造礁サンゴ、河口や湖を示すシジミ、浅い海を示すアサリ・ハマグリ、寒冷な陸地を示すブナなどです。

Q
示相化石から何がわかりますか?
A

地層ができた当時、その場所が海だったか陸だったか、海なら暖かいか冷たいか、浅いか深いかといった環境がわかります。陸の植物の化石からは、当時の気候を推定することもできます。

Q
示相化石となる条件は?
A

すめる環境が限られていること、長い期間同じような環境で生き続けていること、生きていた場所で埋まったことの3つです。中学理科では、はじめの2つを覚えておけば十分です。

Q
恐竜は示準化石ですか?
A

はい、中学理科では恐竜は中生代の示準化石として扱われます。恐竜は中生代に栄え、白亜紀の終わりに鳥類以外が絶滅したため、恐竜の化石が見つかった地層は中生代のものと判断できます。

Q
アンモナイトは示相化石にもなりますか?
A

アンモナイトは、主に中生代の示準化石として使われます。海の生き物なので、見つかった地層がかつて海だったことの手がかりにはなります。ただし、アンモナイトの殻は死んだあとに海を漂って流されることもあったと考えられています。そのため、水深や水温など細かな環境を推定する示相化石としては、あまり使われません。

Q
示準化石と示相化石の両方にあてはまる化石はありますか?
A

あります。代表的なのはビカリアで、新生代の時代を示す示準化石であると同時に、暖かい海辺の環境を示す示相化石でもあります。

まとめ

示準化石と示相化石は、化石から「時代」と「環境」のどちらがわかるかで分けられます。最後に、ポイントを整理しておきましょう。

  • 示準化石は「時代」がわかる
  • 示相化石は「環境」がわかる
  • 示準は絶滅した生物が多い
  • 示相は今も仲間が生きている
  • ビカリアは両方の役割を持つ

まずは比較表と語呂合わせで基本を押さえ、余裕があれば図鑑や発掘体験で実物にふれてみてください。教科書の中の化石が、何億年も前の地球を語る「証拠」として見えてくるはずです。

参考文献